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下山 巖; 馬場 祐治
Carbon, 98, p.115 - 125, 2016/03
被引用回数:34 パーセンタイル:72.68(Chemistry, Physical)共役系炭素材料へのヘテロ原子ドーピングが吸着脱硫特性に与える影響を調べるため、リン及び窒素をドーピングしたグラファイトに対してチオフェン吸着量を比較した。X線光電子分光法から求めた被覆率から、リンドープしたグラファイトの方が窒素ドープ試料よりも1020倍高いチオフェン吸着能を持つことを明らかにし、吸着脱硫特性がドーパントの種類に大きく依存することを示した。また、吸収端近傍X線吸収微細構造スペクトルの偏光依存性を用いてドーパントサイトでの立体配置の違いを区別し、曲面構造のリンサイトが平面構造のリンサイトよりも約10倍高いチオフェン吸着能を持つことを明らかにした。分子軌道計算を用いた解析により、リンと窒素のドーパント効果の違い、及び平面構造と曲面構造におけるチオフェン吸着特性の違いを理論的に明らかにした。チオフェン吸着後の加熱処理によるチオフェン脱離結果から、再活性化におけるリンドーピングの利点についても指摘する。
石原 正博; 塙 悟史; 曽我部 敏明; 橘 幸男; 伊与久 達夫
Materials Science Research International, 10(1), p.65 - 70, 2004/04
2D-C/Cコンポジットの曲げ強度予測法について、実験及び解析的に検討を行った。実験的な検討では、3点曲げ強度を実測し、また破壊後の試験片のSEM観察から基本的な破壊様式を検討した。破面観察の結果、引張応力下での繊維の延びによる破壊様式、圧縮応力下での繊維の座屈による破壊様式及びせん断応力下での繊維間のスライディングによる破壊様式が観察された。解析的な検討では、セラミックス材で広く用いられているワイブル強度理論からの強度予測を検討するとともに、基本的な破壊モードを考慮し競合リスクモデルを用いた強度予測法を提案し、これによる強度予測を検討した。検討の結果、ワイブル強度理論からの予測は、実測値の2倍以上の強度予測結果となり、異方性の高い繊維強化材料には応用できないことがわかった。一方、提案方法では、実測値とほぼ一致する強度予測を示すことが明らかとなった。さらに、提案方法でパラメータ解析を実施したところ、圧縮応力下での破壊様式が曲げ破壊を支配していることが明らかとなった。
東島 智; 中村 博文; 堀川 豊彦*; 神永 敦嗣; 関 正美; 久保 博孝; 小西 哲之; 田辺 哲朗*
Proceedings of 30th EPS Conference on Controlled Fusion and Plasma Physics (CD-ROM), 4 Pages, 2003/00
国際熱核融合実験炉(ITER)では、炭素タイルや炭素再堆積層に含まれるトリチウムが運転を制限する可能性があり、トリチウムリテンションを下げる手法の確立が望まれている。また、除去されるトリチウムの化学形に対する知見は、トリチウム回収プラントを設計するうえで不可欠である。JT-60Uではこれまで、不純物低減・粒子リサイクリング低減の観点から壁調整法を開発して来たが、水素同位体除去の観点からも壁調整法の最適化が必要である。そこで、大型トカマク装置における真空容器内の水素同位体挙動を研究し、その有効な除去方法を探索することを目的として、壁調整放電を実施した。講演では、水素同位体除去を目的としたJT-60U壁調整放電の解析結果を報告する。
仲野 友英; 久保 博孝; 東島 智; 朝倉 伸幸; 竹永 秀信; 杉江 達夫; 伊丹 潔
Nuclear Fusion, 42(6), p.689 - 696, 2002/06
被引用回数:46 パーセンタイル:79.09(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uの炭素材ダイバータ板におけるCH,CD,CH及びCDの化学スパッタリング率を測定した。CH,CD,CH及びCD分子の発生量を求めるためにCH,CD及びC分子からのバンド光を分光測定した。ダイバータ板への水素イオン束に対する炭化水素分子発生量で定義される化学スパッタリング率は、ダイバータ板の表面温度が約360,420及び540Kにおいて、CHについては約1%,1-2%及び2-3%,CHについては約2%,4%及び7%であった。ダイバータ板への水素イオン束が増加すると、水素イオン束の-0.15~-0.33乗に比例して化学スパッタリング率は減少した。いずれの分子種及び表面温度においても、重水素イオンによる化学スパッタリング率は、軽水素イオンによる化学スパッタリング率の約1.2倍であった。CH及びCDが起源の炭素原子数は、化学スパッタリングで発生した炭素原子数の約80%を占めることがわかった。
奥 達雄*; 馬場 信一
炭素, 2002(202), p.90 - 95, 2002/05
熱膨張係数は、熱的性質の中でも重要な特性の一つである。熱膨張は外形の変形及び熱的拘束による内部応力すなわち熱応力の評価にとっては欠かすことができない特性の一つである。ここでは、熱膨張の物理的意義からはじめて、熱膨張係数の定義,熱膨張係数を求めるために測定すべき量,測定原理,測定装置,測定例及び測定上の注意事項などについて説明する。
朝倉 伸幸; Loarte, A.*; Porter, G.*; Philipps, V.*; Lipschultz, B.*; Kallenbach, A.*; Matthews, G.*; Federici, G.*; Kukushkin, A.*; Mahdavi, A.*; et al.
IAEA-CN-94/CT/P-01, 5 Pages, 2002/00
実験炉ITERダイバータ設計と運転に関する重要な以下の3つの物理課題について、既存装置(JET, JT-60U, ASDEX Upgrade, DIII-D, Alcator C-Mod and TEXTOR)の実験データやシミュレーション解析から得られた成果についてまとめた。(1)タイプ1ELMの熱負荷により、ダイバータ板の運転寿命が決まる可能性がある。ELM熱負荷のスケーリングモデルを決める物理ベースを理解するため、ELM熱流と粒子流の輸送過程に関する最新のデータから、各装置において対流熱輸送過程(convective transport)が重要であることを明らかにした。(2)境界層(SOL)におけるプラズマ流に関する各装置のデータと、ドリフト効果を導入したSOLプラズマ・シミュレーション(UEDGE)の計算結果が定性的に一致することを見いだした。ITERにおけるダイバータ設計の最適化のために、ドリフト効果の検討が必要であることを示唆した。(3)各装置における炭素ダイバータ板の化学損耗率のデータから、その表面温度,入射粒子束,吸着層の状態に関する依存性をまとめた。
高瀬 和之; 小瀬 裕男*; 藤井 貞夫*; 渡部 勝博*
日本応用数理学会2002年度年会講演論文集(インターネット), 7 Pages, 2002/00
核融合炉や超高温ガス炉のような高温環境中に冷却水が侵入した場合、水の蒸発に伴って発生する蒸気と壁構成材である黒鉛とが化学的に反応し、水素等の可燃性ガスの生成が考えられる。したがって、原子炉の安全設計の観点から、発生する可燃性ガスの定量評価が重要であるが、原子炉を模擬した高温環境下で化学反応挙動を実験的に調べることは簡単ではない。そこで、冷却水侵入によって想定される蒸気と炭素系材料間の化学反応挙動を数値的に予測する解析手法について検討した。気相,液相,固相を統一的に解く3次補間擬似粒子法を用いて、固気界面での化学反応について解析し、高温雰囲気中に一定流速で侵入する蒸気と黒鉛とが反応して水素,メタン等の可燃性ガスを発生するメカニズムの数値的解明に成功した。一連の解析から、化学反応に対して蒸気流速が重要なパラメータであることが明らかになり、蒸気と固体間の化学反応挙動を数値的に定量評価できる見通しを高くした。
関 正美; 前原 直; 藤井 常幸
Fusion Engineering and Design, 56-57, p.581 - 585, 2001/10
被引用回数:2 パーセンタイル:19.66(Nuclear Science & Technology)低域混成(LH)波は、トカマクを定常運転化し閉じ込め性能を向上できる。LH波用アンテナの工学的な課題は熱負荷対策で、耐熱性材料でアンテナを構築することが重要である。現在、耐熱性に優れた炭素繊維材を用いた開発を行っており、そのひとつはプラズマや高周波放電でダメージを受けやすいアンテナ先端部のみを耐熱化する型である。特徴はボルト締により交換可能としメンテナンス性を向上できることで、アンテナ先端部劣化による入射パワーの低下を防ぐのが目的である。開発のポイントは、導波管構造を持つSUS部材と炭素繊維材との接合方法の確立で、拡散接合を用いて成功した。今後、耐電力試験等を行い健全性を確認する。もうひとつの型は次世代の長パルス用の開発である。特徴は、LHアンテナを構成する電力分岐部全体が炭素繊維材で作られることで、高周波損失低減のため炭素材表面に銅の層を確実に着ける技術が重要である。そのために、チタンを緩衝材としたメッキ法やプラズマスプレー法を開発し、約50MW/m(3.7GHz)の耐電力特性を確認した。高周波放電を持続させないことで耐熱性LHアンテナ製作の目処を得た。
鈴木 哲; 鈴木 隆之*; 荒木 政則; 中村 和幸; 秋場 真人
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.318 - 322, 1998/00
被引用回数:8 パーセンタイル:57.28(Materials Science, Multidisciplinary)核融合実験炉用ダイバータ板模擬試験体の高熱負荷実験について報告する。試験体は表面材料に高熱伝導率をもつCFC材料を使用し、冷却管には疲労強度が高く、接合性にも優れたアルミナ分散強化銅製の2重管を使用している。本試験体、並びに比較のための純銅製冷却管をもつ試験体に対して定常熱負荷(20MW/m)をくり返し与え、熱疲労強度を評価する実験を行った。その結果、純銅製冷却管をもつ試験体は約400サイクルで冷却管が疲労により破損した。一方、アルミナ分散強化銅製冷却管をもつ試験体は顕著な疲労損傷を受けることなく1000サイクルの負荷に耐えることを実証し、本冷却管の疲労強度における優位性を示した。
松尾 秀人
新・炭素材料入門, 0, p.182 - 188, 1996/00
炭素材料学会が刊行する「新・炭素材料入門」の第3章炭素材料の応用の1節で、原子力分野への応用について記述した。この中では、原子炉用及び核融合炉用炭素材料について、使用にいたる背景、用途、材料の機能と特性、今後の展望などについて概説した。
原子分子データ研究委員会
JAERI-M 92-134, 150 Pages, 1992/11
原子分子データ研究委員会の平成3年度の粒子-物質相互作用研究会が1991年12月12,13日の2日間原研本部で開催された。この研究会は、核融合のための原子・分子データの収集と評価の立場から、種々のエネルギー粒子と物質との相互作用に関する研究の現状を把握し、問題点を明確にすることにより、今後のワーキンググループの活動に資することを目的として開催されたものである。研究会では17の講演が行われ、本報告書は講演後に提出して頂いた16編のレポートをまとめたものである。主な内容は、ITERのプラズマ対向材料、炭素材の照射損傷、金属中の水素の捕捉と再放出、重イオンと固体表面との相互作用に関するものである。
松尾 秀人
JAERI-M 91-090, 15 Pages, 1991/06
非晶質炭素及び原子炉用黒鉛材料を1128-1483Kで中性子照射した後2573Kまでの各温度で熱処理して寸法、密度、電気比抵抗、ヤング率、熱膨張率の変化を調べた。炭素材料は原子炉用黒鉛材料に比較して照射によってより大きくて、また異方的な寸法収縮挙動を示した。この寸法収縮量は、1773Kから2023Kまでの熱処理温度で減少したが、それ以上の温度では僅かに増加した。これに対して、照射した原子炉用黒鉛材料を熱処理した場合は、寸法、密度、熱膨張率は殆んど変化しなかったが、電気比抵抗やヤング率は熱処理温度が高くなるにしたがって次第に減少した。これらの実験事実から、非晶質炭素材料と原子炉用黒鉛材料の寸法変化挙動には著しい違いがあることがわかった。
松尾 秀人
炭素, 0(150), p.290 - 302, 1991/00
本論文は、原子炉用黒鉛材料および炭素材料、主として石油コークス系微粒等方性黒鉛材料IG-110と炭素材料ASR-ORBを中心にして、それらの照射および熱処理効果についてまとめた総合論文である。JMTR、JRR-2、HFRなどで550~1335Cで最高6.810n/m(E29fJ)まで照射した後、寸法、熱膨張率、熱伝導度、電気比抵抗、ヤング率などの測定結果、ならびに照射前後に熱処理してこれらの特性変化を調べたこれまでの報告を総合的にまとめ、照射効果と結晶性との関係や照射欠陥のモデルと特性変化との関係について考察した。
松尾 秀人; 斎藤 保; 今井 久
JAERI-M 89-080, 18 Pages, 1989/06
高温工学試験研究炉の炉床部断熱構造物にとって、寸法安定性は断熱性とともに重要な性質のひとつである。この材料に選定されているASR-ORB炭素材料の原子炉寿命中における寸法と断熱性の耐久性を、これら性質に関する試験結果と微細構造に関する研究成果を使用して評価した。この結果、炉床部断熱構造物の寿命末期における寸法変化は0.1%以下の収縮に止まり、また断熱性の劣化も試料間のバラツキの範囲内に止まる見通しであることが明らかになった。
佐伯 正克
核融合炉, 19, p.6 - 10, 1987/00
放射化学第1研究室の小テーマ2「トリチウムの放射化学的研究」において得られた、核融合炉開発関連研究についての成果を概説した。主な内容は(1)材料(黒鉛、SiO,LiF,Li-Al合金等)中でのトリチウムの拡散挙動及び存在状態について、(2)材料(SUS-316、パイレックスガウス)表面でのトリチウムの吸着脱離挙動について、(3)固体吸着剤(シリカゲル、モレキュラーシーブ等)に対するトリチウム水の吸着挙動及び吸着されたトリチウム水の放射線分解について、である。
斎藤 保; 松尾 秀人; 今井 久
JAERI-M 84-213, 12 Pages, 1984/11
炉床部断熱用材料の候補材として検討されている炭素材料には主成分となる炭素質成分の他に微量の黒鉛質成分を含むものがある。これらの材料について、1000Cにおける長時間熱処理あるいは1100C以上で1時間の熱処理を加え、X線手法により結晶構造の熱的安定性を検討した。炭素質成分のLc値(C軸方向の平均無欠陥距離)は1000Cで1000時間以上の熱処理後、あるいは1200Cでは1時間の熱処理後にすでに増加傾向を示した。また熱処理による黒鉛化の進行に伴い欠陥濃度が減少し、その減少率が30%以上になると熱伝導度の増加が大きくなった。一方、ヤング率の減少は欠陥濃度の減少率が10%程度ですでに認められた。
曽根 和穂; 山田 礼司
応用物理, 53(3), p.217 - 221, 1984/00
最近、核融合装置の第一壁は、JT-60の例からもわかるように、低Z材料(炭素材料、SiC、TiCなど)を使用することが普通になってきている。しかし低Z材料では、水素と化学反応して損耗していく化学スパッタリングが無視できない場合が多い。ここではこれらの材料における化学スパッタリング研究の最近の動きについて、著者らの経験をまじえながら解説した。タングステンをダイバータ板として使用する場合の酸素との反応についても若干ふれた。
斎藤 保; 松尾 秀人
炭素, 112, p.2 - 5, 1983/00
焼成温度約1000Cの炭素材料SIG-Bを真空中1200Cまでの温度で最高6000時間加熱処理し、X線回折手法により結晶構造パラメーター変化を測定した。1000,1100および1200Cの熱処理後に求めたLcおよびdの経時変化曲線にそれぞれ「重ね合せ法」を適用し構造変化の有効活性化エネルギーを算出した(120~130kcal/mol)。dとLcの測定結果から、上述の熱処理条件下では炭素網面の配列化は進むが主成分は乱層構造炭素であり、得られた有効活性化エネルギーが黒鉛化の前段階に相当する値であることを示した。SIG-Bを1000Cで20年間使用(多目的高温ガス炉の炉床部材料としての使用条件)することを想定すると、構造パラメーターの経時変化曲線から、主成分は乱層構造炭素の状態にあるがLcは増加することが予測された。
斎藤 保; 松尾 秀人; 福田 保昌; 佐々木 泰一
JAERI-M 8857, 14 Pages, 1980/05
炉床部用炭素材料の加熱処理に伴なう結晶構造変化を調べるため3銘柄の炭素材料(SIG-B、EG-36B、C-140)を3040Cまでの種々の温度で熱処理しX線パラメーターを測定した。3銘柄とも同じような黒鉛化挙動を示す成分から主として構成されていることが明らかになったが、C-140材からは、この主成分の他に黒鉛化度が非常に高い成分も検出された。1000C以上の加熱処理に伴ない見かけの結晶子の大きさ(Lc)は増加し、この現象は網面間隔の収縮が始まらないような熱処理条件下でも認められた。Lcの増加は炭素網面の配列化の進行とC軸方向の格子ひずみの減少とによるが、SIG-B材では前者はLcが約200までの領域で完了する傾向を示した。Lcの増加に伴なってSIG-B材の寸法とヤング率は減少し、嵩密度は増加しており、これらの変化は特に、網面の配列化が進む領域で大きかった。一方、電気比抵抗は網面間隔の収縮が始まるとともに大きく減少した。
松尾 秀人; 斎藤 保; 福田 保昌; 佐々木 泰一
JAERI-M 8561, 21 Pages, 1979/11
多目的ガス実験炉では炉床部材料として炭素質材料の使用が検討されており、その基礎資料を得るために3種類の炭素質材料を試作し、これらの試料について寸法変化とカサ密度の変化に及ぼす熱処理効果と、寸法の径時変化に及ぼす荷重不可効果を調べた。1000Cから3040Cまでの各温度で1時間の加熱処理により、寸法変化では2種類が収縮し、他はほとんど変化しなかった。カサ密度では増加したものと減少したものがあり、試料によって異る熱処理効果があった。1000Cでの寸法の径時変化では、寸法収縮率は荷重を付加することによって大きくなるが、荷重を付加する前に1000C以上の温度で長時間予備過熱することによって減少することや、寸法収縮率はt(tは測定時間)に比例して変化するなどのことがわかった。多目的高温ガス実験炉用炉床部材料としては、この実験に使用した試作炭素材料よりさらに高温における寸法安定性の良い材料を開発することが望まれる